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これだけは知っておこう! 3分で理解する『両利きの経営』

今や多くの企業が『両利きの経営』の内容を踏まえた、中期経営方針などを発表しています。
できれば、この本の一読をおすすめしますが、もはやいろいろなビジネスシーンでこの言葉がでてきていますので、今回はこれだけ知っていれば、本を読まなくても大丈夫!といったポイントを説明します。ぜひこれだけは覚えておきましょう!

『両利きの経営』(ambidexterity)

両利きの経営”知の深化””知の探索”

両利きの経営は、知の深化知の探索をバランス良く経営することが必要だと言っています。
また、これらのケイパビリティは全く異なるものであり、これらをバランス良く経営の舵取りすることはなかなか容易ではありません。トップマネジメントの意思と力量にかかっていると言えるでしょう。

著者:チャールズ・A・オライリー(スタンフォード大学経営大学院教)

” 知の深化(Exploitation) ”とは

既存の事業を深堀りする組織能力のこと。
絶え間ない改善を重視。→Improvement

特に大企業においては、既存事業を深化させる能力には長けています。
商品を効率よく大量生産すれば良かった時代は、この深化が重要でした。
日本企業のお家芸と言えるほど得意である一方、この成功体験から抜け出せないことが課題でもあります。

” 知の探索 (Exploration)  ”とは

新しい事業機会を探索する組織能力
実験と行動を通した学習を重視。→Innovation

これからのVUCA*な時代には、ますます知の探索が必要となってきます。
同じ社内、同じ組織、同じメンバーからは新しい発見がありません。そこで、知を探索するためには、会社や業界を超えたネットワークが必要です。
他社とのオープンなコラボレーションを行っている企業も増えつつありますが、これは知の探索の活動です。
しかし、探索はセレンディピティ(思わぬものを偶然に発見する才能)によるところがあります。
結果をすぐに求める会社ではなかなか難しいでしょう。

コンピテンシー・トラップ

特に大企業においては、両者をバランスよくやっているつもりでも、知の深化に寄っていってしまいます。それは、短期的成果を求めることに起因します。結果として企業の中長期的なイノベーションが停滞することを、「コンピテンシー・トラップ」と呼んでいます。

一方、知の探索は、前述のとおりすぐに結果がでるものではありません。したがって、かなり強いリーダーシップをもって、意図的に知の探索に力を入れて推し進めるくらいでないと、結果的に両利きのバランスはとれないでしょう。

まとめ

両利きの経営では、”知の深化”と”知の探索”をバランスよく両立させることができることを良しとしています。

”知の深化”と”知の探索”は相反することを同時に行うため、同じ企業内で実施するにしても同一の組織が両立して行うこと(一人二役)は、難しいでしょう。
また、どの企業も頭ではわかっていても、体がついていかないのです。
それを真摯にやり続けられる企業が、生き残れるのです。

以上、これから「両利きの経営」に注目しましょう。

《追記》
こちらも合わせてお読みください!!
『両利きの組織をつくる――大企業病を打破する「攻めと守りの経営」』