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パーパスとミッションの違いとは?

最近、企業の会社案内や経営方針などに「パーパス(purpose)」という文字を見かけるようになりました。そこで、今回はパーパスの意味、またパーパスとミッションの違いについて説明いたします。

ミッション・ビジョン・バリューとは?

過去の日本企業、特に終身雇用があたりまえの時代の日本企業は、同じ年代、同じ性別(男性社会)、同じ学歴、同じ価値観の社員が集まり、いわゆる「阿吽の呼吸」でコミュニケーションができていました。そんな村社会においては、ミッション・ビジョン・バリューという必要性があまり無かったのだと思われます。
しかし、近年グローバル化や社会環境、経営環境の変化などにより、さまざまな人がさまざまな価値観を持って、一緒に仕事をするようになりました。このようなダイバシティ(多様性)な環境においては社員を同じ方向に向かわせる指針を示す必要が出てきたのです。従業員以外のステークホルダー(顧客や取引先、株主など)も多様化しており、企業経営として、共通の目標・価値観を社内外に可視化・共有したものがミッション・ビジョン・バリューです。
さてそのミッション・ビジョン・バリューの意味は、以下のとおりです。

・ミッション(Mission)=「使命、存在価値」 
 →ずっと変わらない普遍的なものです。

・ビジョン(Vision)=「なりたい姿、中長期的ゴール」
 →その時点での目標ですので、その時々によって変化します。

・バリュー(Value)=「価値観、行動指針」
組織共通の価値観、また基準となる行動指針。

Mission・Vision・Valueはそれぞれの頭文字をとって、MVVといったりします。

では、MVVの例をみてみましょう。以下は「三井物産さん」のMVVです。
ミッションは、”世界中の未来をつくる” 
素晴らしいですね!!私もこのブログを開設するときに、「自分がしたいこと、すべきことはなんだろう?」ということを良く考え、それをMVVで表現してみました。ぜひこちらもご覧ください!

 

パーパスとミッションの違いとは?

では次に「パーパス(Pupose)」とはどういう意味でしょうか? 英語で”Purpose”と言えば「目的」ですが、経営用語として使う場合は、「存在意義」と訳されたりします。

ミッションも「存在意義」と説明しましたが、パーパスの「存在意義」とは一体何が違うのでしょうか?
それは、パーパスは社会における存在意義、つまり社会にどう貢献しているかという視点を入れているているということです。これも時代背景の影響があると思いますが、企業が持続的な成長をしていくには、社会から必要とされなければならないということです。

CSV(Created Shared Value)SDG’s(Sustainable Development Goals)ESG(Enviroment Social Governance)といった言葉もよく目にしますが、このような言葉に代表されるとおり、今や社会課題に向き合う姿勢がない企業は、社会的存在意義が無いということになるのです。

話は戻りまして、「ミッション」が社会的な存在意義を含む内容であれば、パーパスと同意義語になります。

パーパスの事例

「ソニーさん」の事例です。
Purpose=存在意義として表していますね。ソニーは従来のエレクトロニク事業から、映画・音楽・ゲームなどのエンタテインメントビジネスや金融事業など多角的に展開しています。そこで企業経営、ガバナンスするためには、社内外にソニーという会社の共通価値感を示す必要性が出てきたのだと思います。

クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす”
このパーパスは、ソニーにしかできない社会的な存在意義を表している感じがします。
社会的に存在意義があるという会社は、言い換えると社会にとって「無くてはならない会社、必要不可欠な会社」であるともいえますね。たとえば、ディズニーランド(オリエンタルランド)という企業が倒産して無くなってしまったら、たくさんのファンが復活を願うと思います。最近もコロナ禍でしばらく休園していましたが、再開を本当に心から喜んでいる人の姿を見るとつくづくそう思います。
一方、つぶれても誰も困らないような会社は、社会的存在意義が無いということになるでしょう。

パーパス:参考図書

以下にパーパスに関する本を2冊紹介します。

①パーパス・マネジメント――社員の幸せを大切にする経営  丹羽 真理(著)

本書では、仕事の「やりがい」について触れられています。「やりがい」をもって働くことができれば社員は幸せを感じることができる。肝心なことは、自分と組織のパーパス(存在意義)が一致していれば社員はイキイキと働けるとのことです。

パーパス・マネジメント――社員の幸せを大切にする経営

②Harvard Business Review 2020年10月号

Harvard Business Reviewで、「Purpose Branding」特集が組まれていました。
ちょうど私がこの記事を書いているタイミングに出てきたため、まだ読めていません。^^;

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー 2020年 10月号 [雑誌] (パーパス・ブランディング)

補足

企業によってはMVVをお飾りでつくっている会社がとても多いですね。
私のいた会社もそうだったかもしれません・・(*_*)
経営者の問題意識が低いのですね。
特にありがちなのが、表向きには「お客様第一」とか言っておきながら、社内では「売上第一!」とか言っている会社ですね。こんな会社はもはやオワコンです。(*_*)

また、MVV以外に、「経営理念」や「クレド」といった言葉を使っている会社も多くあります。アカデミックに知りたい方はこれらの違いを調べても結構ですが、重要なことは、なぜMVVやパーパスが企業経営に必要なのか?をしっかりと理解することです。
この重要性がしっかりと理解できていれば、心から思っていないのに「お客様第一!」とか言っているような会社はきっと減ってくるはずでしょう。