今日は、”Exponential(指数関数的)”という言葉について考えたいと思います。
指数関数的(exponential)とは
最近、「シンギュラリティ(技術的特異点)」という言葉をよく耳にいたします。シンギュラリティについては、また別の機会に触れるとして、シンギュラリティがSFの世界のなかの話から現実的になってきたのは、技術が大きく進歩してきたことは言うまでもありませんが、ポイントはそのスピードです。いくら技術が進歩したといってもそのスピードがリニアであれば、シンギュラリティもまだまだ遠く先の話であったでしょう。しかし、今の技術の進歩は、指数関数的に成長(Exponential Growth)しています。だからシンギュラリティは現実的になってきたということです。
さて、指数関数とは、公式で表すと、
です。(プログラミングでは、Y=a^xと表します。 ^は”キャレット”と読みます)
簡単に言えば、a=2であれば倍々に増えていくということですね。
ではここから、指数関数的な例を3つご紹介します。
指数関数例① コピー用紙を何回追ったら月に到達するか?
答え:なんと(1)の約40回 なんですね!
これが指数関数的な増加になります。
*解説は以下をご覧ください
出典:PRESIDENT online https://president.jp/articles/-/23488
指数関数例② 世界の人口推移
次に世界の人口推移のグラフを見てみましょう。
厳密には、Y=a^xになっていないかもしれませんが、このグラフは指数関数的増加をしている例といって良いでしょう。
産業革命あたりから急に増加していますが、たった200年の間に60~70億人増加していることがわかります。日本ではすでに人口減少が起こっていますが、世界的には、まだ指数関数的に成長を続けています。
指数関数例③ アマゾンドットコムの売上推移
これは、アマゾンドットコムの売上推移です。指数関数的に成長しています。アマゾンは創業から利益の大部分を先行投資に継続的にまわしていました。株主配当も出していないんですよね。その仕込みが功を奏して、今売上が指数関数的に伸びています。
出典:ガベージニュース
指数関数的成長で見落としがちなのは、最初のうちはリニアな成長と比較して、指数関数的成長のほうが劣る時期があるということです。
一般的な日本の企業は短期的な利益獲得に走っています。いわゆるPL脳ってやつの弊害ですね。(PL脳についてはまた触れたいと思います。) よってアマゾンのような中長期的な視点にもとづいた先行投資はできていませんので、どんなに素晴らしい会社においてもリニアな成長までであって、指数関数的に伸びていく会社はかなり少ないですね。
”指数関数”を考えるきっかけになったビデオ(2本)
さて、少し前になりますが、私が指数関数というキーワードを考えるきっかけとなった2本のビデオをご紹介いたします。
少し古いのですが、なかなか目からウロコですので、ぜびご覧ください。
① 「Did you know ?」
この「Did you know?」は、2006年8月にコロラド州の高校米国の高校教師のKarl Fisch氏が、デジタルやネット、世界がフラット化し、急加速して変化している社会で子供たちに何をどう教えていくか考えるために作った教育関係者へのプレゼンテーションでした。
ビデオをご覧いただく前にこの動画がUPされた2007年の状況です。
2007年 Facebook、youtube開始
2008年 twitter開始、iphone発売
*上記は日本でのリリース時期
この動画が公開された頃に、Facebookやiphoneなんかが登場してきたんですが、これ以降はますます指数関数的にスピードが早くなってきたと思います。
いかがでしたでしょうか?
その後、Did you know?のバージョン3.0や4.0などの派生作品も出ているようです。興味があれば見てみてください。ただし作成者はわかりません。
② 「アイデアがセックスするとき」by マット・リドリー
次に、こちらは2010年に「TED」で講演された内容です。
詳しくはビデオを見ていただきたいと思いますが、同じ大きさである石斧とマウスが出てきます。「交易と分業」が指数関数的にスピードを加速させていきます。
動画はこちら(他タイトへのリンク)
近年のソフトウェアドリンブンで、オープンなデータ流通の動きの時代では、ますます「交易と分業」が進みます。つまり、世の中の進歩は倍々で加速していくと思われます。
まとめ
私たちは物事が「時間軸とともにリニアに成長していく」のが、当たり前だと思っていると思います。
これから重要なことは以下の2点だと考えます。
①指数関数的な成長が当たり前だと想定しておくこと
②物事を短期視点や先入観で判断せず、長期視点かつ俯瞰的に考えること
今や中国のIT企業の成長やアフリカでのスマホの普及などを見るにつけ、爆発的な成長をしていると感じます。 私達がまだまだと思っているといつの間にか追い越されてしまいますし、決して追いつくことはできなくなるでしょう。