2020年もあと少しで終わろうとしています。
今年は本当にコロナに振り回された1年でしたね。生活や仕事、学校生活もオンラインを中心にした形に変化しました。まさか、このような生活が余儀なくされるとは夢にも思っていませんでしたが、アフターコロナはもう元の形には完全には戻らないでしょう。ニューノーマルの言葉どおり、「新しい日常が普通」の状態になることでしょう。
さて、今年は東京オリンピック、パラリンピックの開催が予定され、たくさんの外国人環境客が来日するはずでした。運輸、観光、飲食、小売業などはかなり成長を期待して、準備していたことと思います。それが一転、真逆の展開となりこれらの業種はかなり厳しい状態に立たされています。そこで、コロナによってインバウンドの減少によって、大きく影響を受けたこの2020年を振り返りたいと思います。
コロナ前の観光ビジョン構想
日本は東京オリンピック・パラリンピックによって多くの外国人観光客を呼び込み、経済の起爆剤として大きな期待を寄せていました。
2016年の『明日の日本を支える観光ビジョン構想会議』では、訪日外国人旅行者を4,000万人に持っていき、旅行消費額で3.5兆円のお金を落としてもらうことを期待していました。
出典:『明日の日本を支える観光ビジョン構想会議』
2019年の訪日外国人旅行消費額は約4.8兆円でした。今年のインバウンド消費減少の影響について経産省が発表した内容によると、年間9割減でGDP0.8%ダウンの見込みのようです。GDP比で見ると影響が小さく見えますが、なんといっても年間で9割減ですから、業種や地域別に見れば事態はかなり深刻だと思われます。
コロナ後のインバウンド数
1月の国内初のコロナ感染者をはじめ、2月の「ダイヤモンドプリンセス号」、3月のWHOのパンデミック宣言、学校休業要請などがあり、外国人の入出国制限などがありました。そして4月に始まった緊急自体宣言以降は、ほぼゼロに近い数字となっています。
※日本政府観光局の数字を利用。但し2020年12月は11月と同じ数字を入れて試算
また、2019年の訪日外国人は3,188万人で、2020年の目標は4,000万人強でした。前年比で87%の減少です。しかもこの400万人のほとんどは1-3月の数字であり、4月以降はほぼゼロに近い数字となっています。
インバウンドに期待できない今、観光業界にとっては国内旅行者に期待したいところです。しかしこの年末年始が最大の稼ぎ時ですが、12/28からはGoToキャンペーンも一時停止となっており、その状態はさらに深刻です。
影響が大きい業種
これはインバウンド蒸発による下振れの影響が大きい業種です。
実際には、これに加えて国内旅行者の減少などもありますので、本当に厳しい状況です。とくにこれらの業種は中小規模の会社が多いので、体力的に厳しいでしょう。
みずほ銀行「インバウンド蒸発による悪影響の総括的検証」より抜粋
JALの業績
次に、個別企業として、JALさんの状況を見てみます。
以下は、コロナ前の2019年中期経営計画です。
この時点では、オリンピック開催を前提に強気の数字が入っていました。
2020年度の売上は1兆6,000億円を計画していました。
これに対して、今年の最新の売上見込みは、その1/3程度の5,300~6,000億円程度となっています。
コロナが無かったら今ごろは・・
もし、コロナが無かったら今ごろは・・。こんなタラレバをしても意味がないかもしれません。しかし、オリンピックがあって外国人観光客が多く来日していたら、やはり観光・交通・運輸・飲食産業などはたいへん潤っていたと思われます。
たぶん、私も飲み屋さんにかなりの回数、繰り出していたと思います。
日本は2020年をピークに、経済成長が鈍化すると言われていました。その大きな原因は人口の減少や労働人口の減少によるものです。オリンピックをカンフル剤にして延命しようと図っていたのです。
しかし、経済のピークとされていた2020年は、オリンピックイヤーという天国からコロナ自粛という地獄に変化してしまいました。そして、今後はどんどん経済が縮小する可能性があるのです。
いったい日本はどうすべきか?
一方、海外ではワクチン接種もはじまって、もう少しで落ち着いてくれるかと思いきや、イギリスを始めとするヨーロッパ諸国やオーストラリアでは、コロナウィルスの変異種が流行ってきているようです。しかも、感染力は最大1.7倍だとか。。
もし、来年も同じような状態が続いたとしたら、全世界の経済的打撃はいまだかつてないほどの深刻な状況に陥るでしょう。
この1年間に日本政府の行った施策で良いものもあれば、悪いものもありました。
良かったのは国民一人当たり10万円の配布です。時間はかかりましたが、広く遍く配布できたのは良かったと思います。(私はそのお金が入ってくるや、すぐに固定資産税や自動車税に消えていきましたが。)
悪かったことは、政策が業界個別の既得権益に走ったことですね。結局はなくなりましたが、もともと「お肉券・お魚券」なんてありましたよね。また、GoToも個人的には愚策だと思っています。まず、「スピードが遅く現場が混乱」「タイミングが悪い」「旅行代理店にメリットが大きく、観光業関連全体の救済が少ない」などの理由からです。
大事なことは、まず早くコロナを終息させることです。withコロナとか言ってGoToなどの緩んだ感じでダラダラやることは傷口をさらに大きくします。観光業界や飲食業界は、盆と正月、GWで利益を出すビジネスモデルになってしまっていますが、今年はこの時期にすべて自粛等が入ってしまったのでこれは本当に最悪です。
ダラダラではなく、一度締め付けを厳しくするしかありません。
そして、もう一つは大規模な財政政策、つまり投資するしかないのです。
今、財務省はプライマリバランスの健全化を盾に、少し抑えている部分がありますが、とにかくお金を早く、公平に行き渡るようにして循環させるべきです。このまま、お金の流れを止めてしまうと、倒産していく企業が増加し、失業者が増え、今後法人税や所得税などの税収は途絶えてしまうことになるのです。
withコロナは幻想、現実はwithoutコロナで!
withコロナというのは幻想です。withoutコロナの前提でアクションをとりながら、結果的にはウィルスと共存していくということです。
したがって始めからwithコロナと言ってはいけないのです。
さて来年こそは、コロナに打ち勝って素晴らしい年にしたいですね。
では、皆様、コロナに気をつけて良い年をお過ごしください!!